『狂気 太郎』会議室

美形会議II

~美形の歌~

 

一日目

三日目

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五日目

 

 

 

 

「よっ!陰を往く人の美形キャラ、日暮静秋だ」

 

「わざわざ説明しなくても良いでしょうが
 私が地獄王の美形キャラ、ローソルドの若き宰相こと
 ライアス・ファンデブルー・デリッセンです」

 

「………」

 

「剣さんですね」

 

「殺人鬼探偵の美形キャラ、剣里火さんだな」

 

ライアス

 



日暮

「で、主に10代の夢見がちな乙女を熱狂させる
 そうそうたる美形キャラ三名が既に揃っていますが
 今回はちゃんと正規メンバーが揃うのでしょうね?」

 

「大丈夫だ。あの人には(株)日笠テレパス経由で
 100秒ほどメッセージを吹き込んでおいたから 、間違い無いぜ」

 

ライアス
……テレパス?


日暮

 


 

 

 


ライアス

 

 

日暮

 

ライアス

 

神楽

 

ライアス

 


日暮

 

ライアス

 



 

神楽

 

ライアス

 



神楽

 

ライアス

 


日暮

 

ライアス

 

神楽

 

 

日暮

 

ライアス

 

神楽

 

日暮

 

 

神楽

 



ライアス


「ん? ああ、電報みたいなものだよ。
 サングラスの司会者がやってるお昼の番組でも人気の通信手段さ」

 

「……サングラスが……」

 

「すいません、『指食いと腐れ風神』の収録で遅れてしまいました。神楽です。
 まだ美形会議 II ~美形の歌~ はされていますか?」

 

「お、早速…ってあなたですか」

 

「すまぬ…また呼ばせてもらった……」

 

「いいよ剣さん」

 

「ええ、神楽さんが空気さえ読めていれば、我々も邪険にはしてません」

 

「ほう、何の空気が読めていないと?」

 

「あなたがキャラでもない言葉遣いをやめていただければ、
 それで良いんですが?」

 

「……って、ライアス。そんなことでケンカ売ってたのか」

 

「……まあ良いでしょう。
 とにかくあなたは丁寧語を使って良いキャラではありません!
 ほら、剣さんからも言ってください!」

 

「……!?え…いや……」

 

「解らないことを仰りますね。何故丁寧語を使ってはいけないのでしょう」

 

「口調の替わるタイミングが解り辛いんです。
 私は姫の護衛という明確な目的がありますが、
 あなたには軸が感じられません」

 

「………ふむ」

 

「そんな輩に『腹が黒い』で被られるのは不愉快です。
 あなたもしっかりした個性がないと、生き残れませんよ」

 

「……いや、地獄王ってあれで完結してるよな」

 

「………」

 

「………」

 

「………」

 

「…はっ!」

 

「………」

 

「………」

 

「………」

 

「………くうき、ゲホッ…ゴホゴホ……」

 

「……元々そういったキャラ付けだし、作品にハードボイルドと銘打ってあるんで、
 感情の変化が解り辛いと言われてもな。
 だがそう言うなら仕方ない。無礼は承知で崩させてもらうが、良いな?」

 

「………ええ、そのほうが、よろしいかと……」

 

 


 

 

神楽

 

日暮

 

ライアス

 

 

日暮

 


ライアス

 



 


日暮

 


ライアス

 

 

日暮

 

神楽

 

ライアス

 

 

 

日暮

 

ライアス

 

 


エン

 

日暮

 

ライアス

 

エン

 


日暮

 

エン

 

神楽

 

日暮

 

ライアス

 

 

神楽

 

エン

 

ライアス

 

 

日暮

 

 


神楽

 


 



日暮

 

ライアス

 


ゲール

 




日暮

 

ライアス

 

ゲール

 

神楽

 


ゲール

 


日暮

 

神楽

 

ゲール

 

ライアス

 


ゲール

 

日暮

 

ライアス

 

ゲール

 

ライアス

 

日暮

 

神楽

 

日暮

 


ゲール

 



日暮

「……本当に来るのか?」

 

「ああ、来ると思うぜ。あの人は」

 

「ですが、スケジュールが会わなくなった可能性も否定できません」

 

「………そうだな」

 

「お前ら…… カイストが信じられないのか!
 来るって言ったら絶対に来るんだよ!」

 

「落ち着きなさい、日暮くん。私とてあの方を信じていないわけではありません。
 ですが、まだ信じられないというのが本音としてあるのです。
 本当にあの方が、私達と会議を行ってくれるのでしょうか?」

 

「彼らは肉体と記憶を残したまま、転生を繰り返し永劫を生きる……
 カイストといえばわしらにとって雲の上の存在」

 

「……なるほど、俺も死んだことは無いしな……
 そういう雰囲気のある人だよな」

 

「!? 待ってください! ……この気は!?」

 

「このプレッシャー……!」

 

「おお!!やっぱり来てくれたか!!」

 

「来るのか!」

 

「!!?」

 

「どうも、ご招待に預かり光栄です」

 

「エンさん!!」

 

「カイスト代表の伊達男!エン・ジハルさんですね!?」

 

(こ、この男がエン・ジハル……
なんというオーラ! 風格! 品位! 格調! スケール!)

 

「はい、エン・ジハルです。趣味はナイフの手入れと転生です」

 

「本物だ!」

 

「ええ、この尋常じゃない目の大きさ。間違いなく本物でしょう!」

 

「会議内容のプリントは読ませていただきました
 いやあ、なかなか興味深い」

 

「さすがカイスト!仕事が早い!」

 

「私はキルマのライバルということでいいんでしょうか?」

 

「ちょっと待て」

 

「な、なんだ神楽鏡影!」

 

「そうですよ、せっかく盛り上がってきたという時に!」

 

「………空気読め!」

 

「こいつはエン・ジハルじゃないだろ」

 

「おやおや」

 

なっ!?

 

………!!

 

なんだってー!!

 

「思ったより早くバレましたね……
 アストラル体でも問題ないかと思いましたが」

 

「どうも引っかかったんでな。
 カイストのような能力者が居たとして、幽霊の状態で来るとは思えん」

 

「フフッ、それでは改めて名乗りましょう。
 想師シリーズから来ました。
 知識の探求者、美形カバリストのゲール・ブライトです」

 

「あ、あいつか!」

 

「自分で美形とか付けるんじゃありません!
 あなたはここに呼んでいませんよ!」

 

「それは私がライバルキャラではないからですか?
 しかし美形キャラの全てが主人公のライバルとは限りませんよね?
 明確なデータが出ているわけではありませんが、
 美形⊂ライバルではなく美形∩ライバルであるべきだ」

 

「ゲゲェー!!なんか教師みたいなこと言ってる!」

 

「おのれ!なんの呪文だ!

 

「!…… クッ、フフフフッ……!」

 

「落ち着けお前ら。
 嘲われてるぞ」

 

「フフフハハハハハッ! いやあ、来て正解だった!
 やっぱり生で得る知識はいいなあ」

 

「……知識というか観察というか」

 

「……なるほど、そういうことか。座らせていれば何もしないな?」

 

「ええ、会議の様子さえ見せて頂ければ満足です。どうぞ始めてください」

 

「待ちなさい! そんな部外者を美形会議に入れるわけにはいきません!
 だいたい、本物のエン・ジハルさんは来るんでしょうね?」

 

「あ、その人ですか? どうかなあ。一回殺してきたけど

 

「こ、この外道!」

 

「なんて奴だ!」

 

「だって邪魔でしたし」

 

「邪魔なら仕方ないですね」

 

しまった、こいつも外道だ!

 

「いいから放っておけ」

 

「……ま、まあそうだな、進行の邪魔はしないはずだ。
 知識の根源を潰すようなことはしないだろ」

 

「分かっておられますね。では、そろそろ始めてくれませんか?
 ああ、記録はしっかりしてください。プリントが誤字脱字だらけだったので
 レコーダーなど音声記録が最適ではないかと」

 

「……やり辛いなあ」

 

 


 

 

日暮

 

ライアス

 


神楽

 

日暮

 

ゲール

 

日暮

 

ライアス

 


日暮

 

 
神楽

 

 

日暮

 

 

 

ライアス

 


日暮

 


 

神楽

 


日暮

 

ライアス

 


神楽

 


ライアス

 


神楽

 

 

日暮

 

ライアス

 

ゲール

 


ライアス

 

日暮

 


ゲール

 


日暮

 

ゲール

 

神楽

 


ゲール

 

日暮

 

神楽

 


日暮

 

神楽

 


ゲール

 

日暮

 



神楽

 

日暮

 

ゲール

 

日暮

 


神楽

 

「今日はズバリ、美形キャラとしてのひとつの定義を決定しようと思う」

 

「!!……い、いいのですか?前回は強引な定義付けの所為で
 危うく死者が出るところでしたが」

 

「いや、あれは主にお前の所為だろ」

 

「大丈夫だ。今回は剣さんにだってドンピシャな要素だからな!」

 

「ドンピシャ。使用を確認するのは6年ぶりです」

 

「それは、美形キャラはモテるということだ!」

 

……!!!
 おお! そうか、当たり前過ぎるせいで見落していました……!」

 

「フッフッフッ…リアル読者だけでなく作中でも愛される……
 それこそが真の美形の在り方なんだよ神楽鏡影!」

 

「また俺か」

 

「……い、いやしかし日暮…わしは……」

 

「大丈夫だ剣さん。
 あんたは老若男女を魅了する力…すなわち、
 頼れる上司のカリスマ を十分に備えている!」

 

「!?」

 

「剣さんの『この人に付いて行きたい』オーラは凄いですからね。
 私も敵うかどうか……」

 

「こっちの仮面紳士とは比べ物にならないくらいだ。
 自信を持ってくれ剣さん」

 

「そ、そうか……」

 

「それで、俺にはそれが無いと言いたいのか。
 ……どうも信用の有無みたいなものらしいが」

 

「信用じゃなくてモテ具合だ」

 

「そうです。『友達いなさそう』オーラがけぶりたっている貴方には
 まあピンと来ないでしょうね」

 

「勝手なことを言うな。
 大体そのモテとかいうものが今一つわからな…―――」

 

「おやおや!後付けでキャラを立たせようとはいやらしい!
 まったくこれだからハードボイルドは!現役陣は…!」

 

おまえは何をいっているんだ

 

……ライアス!

 

ちょっと黙れライアス

 

「………………」

 

「気を落とさないでくださいライアス氏。
 今のはあなたが悪い」

 

「……私が!?」

 

「たしかに『モテ』が何かを説明するのは難しい
 改めて聞かれてみれば、俺もよく解らず使っていたのかもな……」

 

「えー、っと…そうですね、ウェブ上では
 『主に異性に人気のある様』を言うとあります、語源はわかりません」

 

「俺のケータイ勝手に使うなよ」

 

「信用から来るそれとはなにか違うのですか」

 

「今言っていたオーラとかカリスマとか、なにかけぶりたっているものだろ。
 俺には見えないがな

 

「占い師の言葉じゃないですね」

 

「まったくだ」

 

「見る方法が違うだけだ。
 剣さんの人徳の相が強かったとしても、顔も手相も見れないので」

 

「そもそも別世界の人間だしな」

 

「ですが完全に見れないというわけではありません
 自分で付けたとはいえ名前も運勢を見るには重要なファクターで」

 

「あ、今はいいです」

 

「……ああもうやっぱり、隙あらば乗っ取ろうと…―――
 でも解った、印象なんだよ!
 信用できるかは顔見ただけじゃあわかんないだろ?」

 

「あなた方はね」

 

「いや、そういう意味じゃなくて…」

 

「声だけとか文字だけとか、シルエットだけとかではわかりませんよね」

 

「そうそう、それ。
 信用は良く知り合って得るものだけど、カリスマは…―――」

 

「筆跡からもある程度人柄というのは読み取れます。
 シルエットでしたら体のバランスで。声にも病や仕事が表れますね。
 最近は科学の一分野となっていますが、既にこれらは占術が全盛期の頃に…」

 

 

日暮

 

 

だぁあからそーいうことじゃあねえんだよぉぉ!!

 言ってやれ!剣さん言ってやれ!

 

……空気読め!

 

神楽

 

日暮

 


神楽

 

日暮

 

 

神楽

 

ライアス

 

日暮

 

ライアス

 

 

 


 

神楽

 

日暮

 

ライアス

 



日暮

 

ライアス

 

日暮

 



ライアス

 


キルマ

 


神楽

 

 

ゲール

 

ライアス

 

日暮

 

ゲール

 

日暮

 

神楽

 

ゲール

 

 

キルマ

 


日暮

 


キルマ

 


神楽

 

 

ゲール

 

日暮

 

神楽

 

キルマ

 

ゲール

 

キルマ

 

ライアス

 

神楽

 

日暮

 

キルマ

 


日暮

 

ライアス

 

 

神楽

 

日暮

 

神楽

 

 

日暮

 

ライアス

 

神楽

「なんだ、話だけじゃねえか!まだ占うとか言ってないだろ!」

 

「長いんだよッ!その上関係ねーんだッよッ!
 今はこっちの話聞けよ!『モテ』の意味知りたくないのかよ!」

 

知りたくねえよ!

 

お前が聞いてきたんだろ!

 この……!バーカ!バーカ!オカルトバカ! オ カ ル ト バ カ 一 代 !

 

「やめろ!変な呼び名をつけるな!小学生か貴様!」

 

「あのー……」

 

「なんだとっとこ青太郎!

 

「ええっ…!?
 い、いや、ほら、今ですね……こちらの方が…」

 

幽霊は居るか?

 

「………」

 

「………」

 

「………」

 

「……キルマさんといって、
 なんでも、目が大きくて白髪まじりの
 白人の幽霊を探しに来たとか……」

 

「……なんで?」

 

「はい?」

 

「なんでエン・ジハルのライバル…
 つまり、目的のない凶器の主人公
 あのカバリスト探しに来たの?」

 

えっ!?
 あああそっかこの人が!!」

 

「カバリスト…魔術師か。
 まだ居るか?」

 

「どこに消えた…… ああ」

 

「机の下に転げ落ちておる」

 

……!……!!

 

「……死ぬほど笑ってましたよ」

 

「……もう死んでるけどな」

 

「ヒィー、おっ……、オカルト……バカ……!」

 

うわ、なんかツボに嵌っちゃったみたい

 

「共感する所があるだけにか。知識バカ一代」

 

「プフゥ―――ッ! うっゲホゲホゲホゲホ」

 

「……で、どうするつもりだ」

 

「そいつを殺すから連れてこいと、エンから頼まれた。
 しかしそうだな、幽霊なら既に死んでいる。どうするつもりだろうか」

 

「は、はあ…まあいいですけど…
 あのー、ライバルじゃないんですか?エンさんとは」

 

「ライバルか解らないが、依頼には関係ない。
 目的が得られるならどうでもいい」

 

「そうか」

 

「……そういうものか…」

 

「……バカ…目的バカ……一代ブハッ!!」

 

「うわ、こりゃもうだめだ」

 

「そこまで面白いか?バカ一代が」

 

「ではこいつは連れて行く。邪魔をしたな」

 

「……バカ一代プフーッ!!クッフッフッフッ……!!」

 

「…歩ける状態ではないようだが」

 

「そうですね、頚椎でもはずしてみたらどうですか」

 

「いやお前、それは解決に……幽霊に骨があるのか?」

 

「……あ、黙った。骨ありました?」

 

「適当に叩いてみたが、よく解らなかった。
 では、邪魔をしたな」

 

「………」

 

「………」

 

「………」

 

「………」

 

「幽霊って担げるもんなんだな」

 

「まあ、カイストだからな」

 

「………」

 

「……帰るか」

 

「……そうですね」

 

「……ああ」

 

 

 

 

三日目