「やっぱり、俺が考える美形のポジションとしては
主人公のライバル的存在。ここは外せないポイントだと思うな」
「ライバルですか。
仕事の本質を見れば、商売敵とも言えるでしょうね」
「地獄王は私も主人公の一人と考えられる作品ですが。最初に登場した騎士ですし…
ああですけど、ある意味、共闘する騎士たちとはライバル関係にあると思っています」
「作品の初期からいるのは重要だな。
俺は真鉤とはライバルであり、同時に助け合う親友のつもりだぜ」
「………」
「あ……」
「あ……」
「そういえば、剣さんだけは三作目から登場しましたね」
「ぐはぁ!」
「謝れ神楽鏡影!」
「剣さんに謝りなさい!」
「何か間違ったことを言いましたか?
例外を認め、間違いを正すなら、
まずライアスさんの主張を検討すべきではないでしょうか」
「黙れ、老害!」
「老害!?」
「そうだ、すぐ本性を出すエセ敬語キャラにはわからないんだ!
顔が良くて生まれも良くて地位もあってなんの後ろめたさもない。
そんなキャラが性格まで真っ当な人間なわけがないだろ!
腹黒ヤンデレ男の一人称小説なんて読みたいかお前!?」
「そうです!
感情移入が出来るものならしてみなさい!」
「いいのかそれで!?」
「そもそも、ライバルには主人公と互角の実力があるはず!
常に直接対決を避けているヘタレ野郎に、ライバルを名乗る資格は無いな!」
「ぐっ!」
「その点、剣さんはしっかり剣を交えましたからね。
しかもかなりの好勝負でした。今後も主人公の前にたびたび立ちはだかり、
ライバルとしての地位を…―――」
「……いや、ライアス。それは………」
「……はい?」
「あやつが生きがいと言ってしておることを……
わしが止める権利もない。仕方なかろう……」
「は、はあ、それはつまりどういう…―――」
「黒贄と戦う理由は、もう無い」
「………」
「………」
「………」
「…えーと、ようするに、ライバルというよりは……
物語の中盤で投入された後、イベントを経て仲間になる、
マンネリ消化剤のような……」
「………ウっぐぼぁ!」
「ちょっと考えてから血を吐いた!」
「ここは…地獄です……」
「謝れ!」
「謝りなさい!」
「俺がか!?」
「いや、ライアスもだ! 憶測でも言って良い事と悪い事があるぜ。
この程度の配慮が出来ないようじゃあ、
美形キャラの社会的地位を貶めかねないってもんだ」
「そう言われては仕方がありませんね…すいません」
「いい年した男二人が高校生に諭されるというのは…
それは良いか。失礼しました」
「いや、構うな……
皆が仲良く、有意義な会議が出来れば他に何も望まん……」
「わかったぜ剣さん」
「そうですね、剣さんの言う通りです」
「……まあ、それで纏まるなら構いませんが…」
「前提から考え直そう。
ライバルは、必ずしも初めから存在する必要はないはずだ」
「ええ、そう考えないと…―――」
「待ってください。たしかに作品初期には登場していませんが…
剣さんの名前が出ていないとは言ってませんよ」
「!?」
「なんだって!?
ほ、本当だ!無印の第六話『髑髏』に名前が!」
「……!……おおお…!」
「重要キャラの名前だとは、思わなかった!」
「ぐゴッふぁあ!」
「血を吐いた!」
「剣さんに謝れ! ……いや、狂気 太郎に謝れ!」
「わ、私が悪いんですか!?」
「……ここに、骨を…埋めることになるとは……な」
「いや如何にもなこと言わないでくださいよ!会議で話しただけですよ!?」
「………」
「………」
「………」
「……私が悪いんですか!?」
|